陽だまりの子

Child In The Sun

024. ごまかし(2)

つらいことをつらいと思わないようにしようとじっと我慢していた。でもできなかった。挫折を認めることができず、自分のことをなりそこねの聖人のように扱い、徒労とわかっている苦労を自らに科した。馬鹿だ。

だが、そのとき真実を告げられ誰からか救いの手を差し伸べられたとしても、私はその手を取ることができただろうか。私はわからなかっただろう。つまらない自尊心で矜持の襟を正すことに懸命で、誰の手も目に入らなかった。

私は、お化粧をしなくなった。
私は、制服を着ることをやめた。
私は、お金を遣うことに慣れた。
私は、誰ともお酒を飲まなくなった。

私の人生に明るい日があったのかと問われたら、答えられないだろう。明るい日に戻ろうとそうしているのかと問われれば、また答えられないだろう。ただ、過去と二度と同じ道を辿ることはない。私はどこかの途上にいる。