陽だまりの子

Child In The Sun

013. 通り雨

この業界に身を置いていると、割と頻繁に同僚との別れを経験する。ある人は同じ業界の別の会社に移り、ある人はまったく違う業界のまったく違う職種に移る。たまに同じ業界の違う職種に移る人もいるが、これはあまり多くない。

今日も一人の同僚の退職が発表になった。8月31日が最終出社日になるという。「夏休みと一緒に終わり?小学生みたい」と私が言うと、10も年上の彼は、あはは、と笑った。その笑いに曇りはなかったが、少し湿っていた。海から吹く風のようだと思った。

彼には私の入社以来、多くのことを教えてもらった。衝突するときもあった。ただ、真っ向から衝突してもその後、遺恨を残すようなことはなかった。性格なのか、気が合ったのか、それ以上にお互いを必要としていたのかわからないが、もうそれを考えている時間はない。

これから月末にかけて彼の仕事の引継ぎが始まる。彼の抱えていた案件のリストをぼんやり眺めながら、あ、私はこの仕事のここにいたと思い返して、少し湿った気分になった。ブラインドの向こうの空はどんより曇り、夕立の予兆がざらざらと風を渡って道路の向こうに落ちた。

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