2011-11-06 填め込みのガラス 詩 填め込みの曇ったガラスから 春の陽光が差し込んで ソファの上に規則正しく並んだ 患者を映す お互いの目に濁った光の中で お互いを監視しているのだ この戦場から誰も逃げ出さないように 逃亡は死だ 私たちは生き残るのだ戦いの末に 死を望む者はいない敵が誰なのかも知らないまま 塹壕で対峙しているよう 身をこごめ息を殺している 春の陽光の下でも 患者は微笑むことはない 喜びにむせび泣くことも彼らの疲労に濁った瞳は ちょうど古びたガラスのよう 潤んだ光を映している 填め込みの眼球に