遼子は傘を差して港に来た。食堂から五分と歩いていないのに、もう手先がかじかんできた。冬が近いのだ……。人気のない港をヒールの音を響かせて歩く。海はいくつもの波紋を落として静かだった。遼子は船と船との切れ間に眼を凝らしながら進んだ。イルカの影…
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